HRE16号車入賞ならず! 悲運続きでナスカー・トラック・シリーズ第11戦の幕を閉じる

無事完走はしたものの……

アメリカで最も人気のあるモータースポーツである「NASCAR(ナスカー)」シリーズ。なかでも3大トップカテゴリーと言われるのが「カップ」、「Xfinity(エクスフィニティ)」、「CRAFTSMAN Truck(トラック)」だ。そのトラックシリーズに長年参戦を続けている「Hattori Racing Enterprises(HRE)」は、ナスカー界で唯一の日本人オーナーである服部茂章率いるチームである。2023年も若手ドライバー、テイラー・アンクラム選手を起用し、トヨタ・タンドラでシリーズフル参戦をしている。

レースは134周で行われる3ステージ制

トラックシリーズの第11戦は、「North Carolina Education Lottery 200」。ナスカーの聖地とも言われ、HREチームの本拠地でもあるノースカロライナ州にあるシャーロット・モータースピードウェイで開催された。2023年5月26日(金)のワンデーでのレースとなっており、午後1時35分に練習走行、午後2時5分に予選、そして午後8時半から決勝レースというスケジュールだ。

134周で行われるレースは3ステージ制となっており、30周目と60周目にそれぞれ第1ステージ、そして第2ステージのチェッカーが出され、各ステージでポイントが付与される。次のステージの開始までステージブレイクという時間も用意されるが、その時間をどう使うかも各チーム戦略の要素のひとつとなる。

序盤から11ポジションアップするが……

HREの16号車は、練習走行の1周目から昨年の予選でのタイムを上まわっていたものの、2周目にターン3にあるバンプに乗った際にギア抜けを起こし、エンジンがオーバーレブしてしまう。練習走行セッションとしては、トップからコンマ6秒落ちの17番手となるタイムを記録していたわけだが、ここで、練習走行を切り上げてエンジンとトランスミッションの交換を行うこととなったため、予選はスキップ。決勝は最後列の35番グリッドからのスタートを強いられてしまった。

そして迎えた決勝では、練習走行すらほとんど走れていない状況の中、アンクラム選手はスタートから果敢に攻めていき、序盤から一気に11ポジションアップを成し遂げて第1ステージを終了。タイト(アンダーステア)の兆候を見せる16号車にチームは調整を加え、第2ステージにアンクラム選手を送り出す。

しかし第2ステージに入ってもタイトな状況は変わらず。それでもアンクラム選手は周回を重ねるごとにポジションを上げ、この第2ステージではトップ20位以内にマシンを持ち込んでいく。さらにファイナルステージではトップ10入り間近のポジションまで追い上げるのだが、104周目のバックストレッチで他マシンとの接触で完全に前を塞がれてしまい行き場を失って失速。

チームはすぐに16号車をピットに戻し、右フロントタイヤと損傷したマシンの修復を行い、アンクラム選手をコースに送り出したが、この傷だらけの16号車ではこれ以上ペースを上げることもできず……。ただ完走することが精一杯のレースとなってしまい、28位でフィニッシュとなった。

トラックシリーズ次戦は、6月3日(土)にイリノイ州マディソンにあるWorld Wide Technology Raceway(WWTR)で開催される「Toyota 200(160周/200マイル)」が予定されている。