「自動タイヤ脱着機」が作業負担の軽減と労働力不足の救世主になる! 三協リールと千葉工業大学の産学連携のプロジェクトとは

整備業界の救世主になるか?

2023年6月15日(木)~17日(土)の3日間、東京ビッグサイトにて、自動車整備事業者が使用する整備関連のハードウェアおよびソフトウェアの関連商品が一堂に会する「第37回オートサービスショー2023」が、じつに4年ぶりに開催された。

「タイヤの自動脱着」を産学共同で開発

「TRIENS(トライアンス)」ブランドを展開し、エアホースリールやコードリール、ライトリールなど各種リールメーカーとして国内シェアトップクラスの実績を持つ三協リール。今回の展示会には、塗装ブース用の巻き取り式排気装置や環境配慮型キャビネットなどを多数出展した。

ブース内にはEVコーナーも設置され、EV用の充電ケーブルに関する参考出品が並んでいた。一番手前に大きく置かれた「電気自動車充電用ケーブル収納BOX」は、ケーブルを収納することで充電終了後のケーブルのさばきの面倒さから解放し、地面を這わせないことでケーブルの汚れを防止し、作業時の手の汚れも防止できる。他には修理工場などの業界向けに充電ケーブルをリールに収めたEV充電リールや、アルミレール式のEV充電システムなども参考出品していた。

そんな三協リールが、千葉工業大学との産学連携で共同開発を進めているのが「自動タイヤ脱着機」である。整備業界での、もっとも負担となっているタイヤの脱着作業。整備作業の際に発生する脱着のみならず、サマータイヤとスタッドレスタイヤの交換など、一般車はもちろん、トラックなど運送業者でも定期的なタイヤ交換の作業が発生している。そうした作業員の身体的負担、そして現場の労働力不足を解消することを目指して開発中である。

ステレオカメラでボルトの頂点検出とハブの位置姿勢推定を行って、タイヤを固定しているナット/ボルトの位置、数、サイズを確認し、それに適したソケット工具を自動で選んでこれを外す作業を行う。また、その際に取り外したナット/ボルトはこの脱着機が保持し、再度タイヤを装着する際に定められた(仮締め)トルクで締め付けることとなる。

まだ実機としてはお披露目されていないが、その動作としては2本のタイヤを同時に持つことのできる1対のアームで、一方でタイヤを外したら、ぐるりと回転しもう一方のアームに取り付けられたタイヤを装着するイメージだ。

こういったロボットが出てくると、何秒でできるのか、といったスペックを追いがちだが……。

「あくまでも作業負担の軽減と労働力不足の解消が目標であってターゲットタイムの設定はありません。それよりも、ホイールや車体に傷をつけずに、さまざまなサイズや形状のものでも対応できるように精度を上げていきたいです」とは、担当者のコメントである。実機のお披露目が楽しみである。